ろじー's バイオロジー

自然科学の分野における研究や論文を元に生き物・登山好きな筆者の知見を加えてあなたの知的好奇心をくすぐるブログ

体内で磁石を合成する生物

 

どうも、ろじーですm(_ _)m

今日はタイトルの通り体内で磁石を作り出すという

驚きの生き物を紹介したいと思います。

 

幾つかの種類に分かれているみたいですが、

まとめて『磁性細菌』と呼ばれています。

細菌ですからとっても小さくて、

その長さは約0.002mm。

光学顕微鏡を使わないと見えないサイズなのに

磁石を生成できるのですから不思議ですね。

 

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下手で申し訳ないのですが、大体こんな感じです。

両端の糸のようなものは鞭毛と呼ばれていて、

これを使って移動します。

そして体内の粒々が磁石の働きを担っています。

 

さて、

磁性細菌はどのように磁石を作っているのでしょうか。

仕組みを簡単に説明すると、

 

•鉄イオンを体内に取り込む

マグネタイト(鉱物の結晶)を作る

•体内でマグネタイトが直鎖状に並べられる

 

このようにして作られたものをマグネトソームと言い、棒磁石のような働きをします。

 

では、この生き物にとって磁石はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

 

磁性細菌は呼吸のために酸素を必要としますが、

酸素の多い環境は好みません。従って酸素濃度の

低い水底が磁性細菌にとって最適な環境になります。

そして磁性細菌は、作り出した磁石で地球が発する

磁力を感知して地球の中心の方向へと移動します。

つまり磁石の性質が磁性細菌の好む環境を探すのに

奇跡的に最適だったのです。

 

この性質の通り、磁性細菌は北半球では南に、

南半球では北に向かう傾向があります。

 

しかもこの細菌、数億年前の化石としても

発見されていて、大昔から存在していることが

確認されています。

 

ミクロとて侮れない、摩訶不思議な世界ですね。